黒蜥蜴(江戸川乱歩全集7)
江戸川乱歩/講談社 1969年
江戸川乱歩といえば、子供の頃は怪人二十面相シリーズを愛読してました。
黒蜥蜴は、京マチ子主演の映画を先に観まして、
この本は、その後古本屋で見つけたのですが、
クロスの色と雰囲気が良いのと、挿画が横尾忠則でしかもカラーという、
素敵に怪しい本です。
(だいたい、高価で稀少な本は持ってませんから)
表紙の色が、写真よりももっと深い臙脂色で、背タイトルが大きめの文字で「黒蜥蜴」。
これはかなり好きなタイプ。
表紙には金色の文様のみ。
クロス装です。なんでもないけど、いい感じ。
「黒蜥蜴」は、簡単に言うと
宝石や美しく若い男女(剥製にする)を蒐集するゴージャスな女盗賊と、探偵明智小五郎の対決。女盗賊は、敵である明智小五郎に惹かれていくんですが、最後は追いつめられて自ら毒をあおり、明智小五郎の腕の中で死んでいくという、そんな物語です。
女盗賊は表向きは社交界の華という設定で、1962年の映画版ではこれを京マチ子が演じています。これがなかなかシビれるのです。脚本は新藤兼人。
ところどころ(たぶん)ミュージカル仕立てになっていて、音楽も「妖怪人間ベム」っぽい雰囲気。
舞台では美輪明宏が演じています。初代明智小五郎は天知茂!しぶいです。
戯曲は三島由紀夫が書いたそうですが、そういえば、河野多恵子さんが「三島由紀夫が一番いいのは戯曲」と言っています。余談ですが。
小説はというと、小細工一切無しで、物語の面白さで勝負してますね。装飾のない文章で、テンポがよく軽快に読ませてくれます。
これが横尾忠則の挿画。全部で5点、収録されています。
雑誌の連載当時は、別の人が挿絵を描いていたようですが。
この本は、文字が紙面に2段組でやや小さめなんですが、それによって本の中に入り込んでいけるというのか、読み込めるような感じがします。
紙はよくある中厚口程度の書籍用紙で、私の好きな糸綴。丸背・ホローバックで、本を開いたまま置いておけます。
持った感じとか、量感なども好きなタイプ。
ほんとうに何でもないデザインのようですが、こういうのがいいのかなあ
なんて思ったり。
元々、ジャケットは付いていなく、函から出すとこのクロス装の状態だったようです。
私は本のジャケットがあまり好きではないので、このかたちはとっても好ましい。
話は変わりますが、こういうクロスの古本を掃除しようと思って、ブッククリーナーなるものを買いました。硬めのペースト状のもので、少しとって練り練りし、本のクロス部分などをペタペタやったりコロコロしたりしてきれいにするというものです。商品名は「absorene book cleaner」。1〜2年前にTalasで購入。
しかしこれ、なんだかべたべたして、クリーニングした面に少しベタベタが残るんですよね…。冷やしてから使った方がいいのかしらん。
他の修復用品のネットショップなんかでも売っていて、あちらではポピュラーなようなことを書いてありましたが。
使い方になにかコツがあるんでしょうか…。
0 件のコメント:
コメントを投稿