2011/09/15

grapefruit/オノ・ヨーコ


grapefruit
Yoko Ono

あまりに有名な、オノ・ヨーコさんの「言葉によるアート」作品集。
1964年当初に発表されたものは、コピーを綴じたこんな物だったようですが
こちらは2000年発行。
心の淵にちいさな石を投げ込むような、ささやかで深く染み入る言葉が
まるで絵のように書き込まれたちいさなノート。
時々ふと、ページを開きたくなるのです。


約15cm角ほどの正方形、量感もいいかんじです。
カバーを取ると、こんなふう。黒一色ですが、表紙と背の紙質が違います。
背はクロス。背タイトルはブロンズ色の箔押し。本文はザラ紙っぽい紙です。


花切れにも黄色。

英語には弱いのですが、ニュアンスを知りたかったので原書を。日本語訳の文庫本とあわせて読みます。

鳥の声のよう。

ニュアンスで読んでますよ。私なりに。


「想像して。…」の一節。イマジン…ですね。
文庫本の日本語訳(南風 椎/訳)では
「想像しなさい。
西から東へ
一匹の金魚が空を泳いでいくところを。
そこで水を一リットル飲みなさい。
想像しなさい。
今度は東から西へ
一匹の金魚が空を泳いでいくところを。」


自分勝手な解釈ですので、訳については言及しませんが、
「頭の中で組みたてる絵」のような感じでしょうか。
点線を描いて頭上に空をつくる…みたいな。

イラストと文字。ほんとうにシンプルな言葉。

「カットピース」というのは、ヨーコさんがステージ上に座り、観客の一人ずつに洋服を切り取ってもらうというパフォーマンス。そのことが書かれています。
ほかにも、行われたいくつかのイヴェントの記録が、短い文章でおさめられています。

中学生レベルの英語力でこれを読むというのは、解釈がずれたりしてることも多々あると思いますが、言葉の投げ込み方というか、シンプルな表し方がとっても好みなのです。
それに、ほとんどが短い文なので、まあこんな感じかなと勝手な解釈。

言葉は、伝えたい気持ちが生んだもの。
白い紙にぽつんと置かれた言葉は、絵のようにも見えますが、
ことばが美しい印象を刻むからこそ、そんなふうに浮かび上がってくるのだと思います。
だから、ページをめくり眺め読むのが好き。


もうひとつ、オノ・ヨーコさんの本でお気に入りの「頭の中で組みたてる絵」は、日本語と英語の両方が見開きでおさめられているのでとっても読みやすい。ここで写真だけ紹介しています。


最後になりましたが、日本語版としては講談社文庫の「グレープフルーツ・ジュース」(南風椎・訳)が出ています。ただ、こちらは原書との対訳ではなく、抜粋で再構成されたものです。なので、順を追って訳と見比べながらという読み方はできませんが。
これはこれで、内容的にはとてもいいと思うんですが、装幀と紙の選び方が残念…。

※「grapefruit」は、Amazon.jpでも中身の数ページを見ることができます。


0 件のコメント:

コメントを投稿